痔ろう(あな痔)とは、肛門のまわりに直腸からばい菌が入って炎症を起こし、膿を出すおできができ、最終的に直腸と皮膚がつながるトンネルができる痔です。 老年~中年の方に多く、また男性に多いのが特徴です。この痔の初期の症状は、肛門周辺の痛みと発熱です。痔ろうになると、トンネルから膿が出てくるだけでなく、痛みや発熱を伴い、長年にわたって放置するとトンネルが枝分かれして、まれにがん化することもあります。その場合は手術により肛門をとらなくてはならなくなります。
原因
痔ろうになる主な原因は、下痢などにより、歯状線(しじょうせん)にある肛門陰窩(こうもんいんか)というくぼみに下痢便が入って、細菌に感染して起こります。小さなくぼみなので通常はここに便が入り込むことはないのですが、下痢をしていると便が入りやすくなります。その結果、膿の袋(肛門周囲膿瘍)ができます。その後、袋が外向きに破れて膿が出てしまいます。体調が悪い時や体力が弱っている時などは、便の大腸菌に感染し、化膿(かのう)しやすくなります。
症状
発熱
肛門周囲の痛み
膿(うみ)がでる
痔ろう(あな痔)及び肛門周囲膿瘍の写真
痔ろうの治療
(単純な浅い痔ろう)
開放手術またはセトン法、瘻孔摘出が行われます。軽い痔ろうの手術は時間も短く簡単です。外来手術もしくは数日間の入院になります。
(進んだ複雑な痔ろう)
一次口の切除、瘻孔摘出、くりぬき法を行い、可及的に括約筋温存手術(括約筋の損傷が比較的少ない手術)を行います。10日から2週間程度の入院が望ましい。
(術後の再発について)
痔瘻手術は原則的には完璧に一次孔を解放、切除しておけば同一の痔瘻は再発いたしません。しかし肛門機能の低下を避けるため括約筋温存手術が行われた場合、経過中筋肉の閉鎖部の癒合不全が起きた場合は時として再発する事があります。
肛門周囲膿瘍の治療