痔の手術に関すること

手術時の麻酔法

 

日帰り手術の場合
局所麻酔あるいは神経のブロック法を用います。麻酔の針を刺す痛みがありますが、術中の苦痛は余りありません。

入院手術の場合
ほとんどの方は下半身麻酔(腰椎麻酔)で手術を行います。この場合は、針の刺し入れも感覚の鈍い背中なのであまり感じません。術中の痛みは全くありません。当院では麻酔医標榜資格を有したベテランの医師が麻酔を行いますのでご安心下さい。

麻酔の危険性

 麻酔薬のアレルギーによる重篤な症状の発現は、極めて頻度の少ないものです。大部分の方は、抜歯などで麻酔経験を持っていますから、気分が悪くなった経験など、このような麻酔剤に対するアレルギー反応を有する方は、問診でほぼチェックが出来ます。腰椎麻酔は時として起きあがった場合のみに感じる頭痛が残る事がありますが、1週間以内に消失します。

手術姿勢

 ごく自然なうつぶせの体位です。当院では極端な屈位や婦人科のような開脚位はとりません。妊婦さんで、うつぶせ位が出来ない場合は例外です。外来の小手術の場合は、横向の診察姿勢のまま行うこともあります。

手術時間

 3個切除でさらに副痔核の処理を併用した場合でも、15分くらいです。傷は溶ける糸で縫いますので、抜糸は不要です。痔瘻の手術や肛門狭窄、慢性裂肛の手術も同様です。

術後の痛み

 手術当日は、そのままですと痛いので、鎮痛剤の注射を行い痛みを制御しますから、それほどの苦痛は有りません。翌日からは排便時にやや痛い程度ですが、それも切れ痔の方が体験する痛みとそれほど変わりありません。すなわち、手術による肛門の傷でも、切れ痔の傷でも、同じように便の刺激で肛門がキューッと痙攣を起こす場合が有るわけです。これらの現象は、薬による便のコントロールと鎮痛剤の事前服用によって比較的楽に過ごすことが可能です。手術当日は注射を行いますが、翌日からは不要となりすべて飲み薬の鎮痛剤で十分です。

この飲み薬の鎮痛剤ですら不要の方もいらっしゃいます。また当院では痔瘻の手術では、新しい手術法を行うため、手術の傷の中にガーゼを突っ込む従来の管理法は全くやりませんので、激烈な痛みなど皆無です。痔の手術は恐ろしく痛いと言う概念は、新しい手術や管理法によってすでに過去のものとなっています。

合併症・後遺症について

 術後に硬い便を無理に出したり、大きなおならによって手術部分が裂け出血を来す場合があります。全国的には100人に一人の割合で、出血が見られるとの報告があります。慎重な便コントロールによってこの問題は回避できます。痔核や痔瘻の手術は以前の方法と異なり、現代では狭窄や失禁などの後遺症が極めて少ない術式です。痔核の手術では便失禁をおこすことなど皆無です。

職場復帰について

 病状や治療内容により、また職種によって異なりますが、術後は1~3週間程の休業が望ましいです。

スポーツ

 こちらも一概に言えませんが、3週間は経ってからの方が無理がありません。