ジオン注射について

内痔核に対するALTA療法(ジオン注)

 「ジオン注」とは、脱出を主なう内痔核(排便時に出てくる、あるいは普段から出たままになっているような「いぼ痔」)に対する新しい治療法で、手術療法に比べて痛みが少なく施術後の患者様の負担が少ないのが特徴です。特殊な注射法があり、現在では当院も含めた限られた施設でのみ施行が可能です。内痔核でお悩みの方、まずは是非ご相談下さい。

特徴

 ●入院期間の短縮(日帰り手術の拡大)
 ●術後の痛みの軽減
 ●合併症(出血、狭窄)などの軽減
 ●他疾患(心臓、脳梗塞などの疾患のため抗血小板内服中など)を併せ持つ高齢の方でも治療可能

 

ジオン治療の経緯  

 ジオンの正式名称は硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸といい、頭文字をとってALTAとも呼ばれます。元々は1979年に中国の高名な痔治療の専門家、史兆岐教授の考案した「消痔霊」という薬が元になっています。その薬の添加物の一部を変えたものがジオンです。日本では2005年(平成17年)からジオン注治療はスタートしました。

ALTA療法(ジオン注)の投与と作用  

 従来の硬化療法とは異なり、1つの主痔核に対して4箇所に分割して注射する「四段階注射法」という、より高度な手技が必要となる方法です。右図のように、痔核部の4ヶ所に薬液を投与します。これにより痔核内の血流が低下し、炎症が起きます。数週間後に炎症作用の修復反応による繊維化により、痔核が硬化退縮します。尚、この治療を施行できるのは、講習を受け認定された、限られた医師のみです。

 

ALTA療法(ジオン注)のメリット
 

1、痔核の痛みがない部分に注射しますので、傷口の痛みがあまりありません。
2、傷口が小さいため、出血はほとんどありません。
3、投与後、翌日から排便、入浴が可能です。
4、仕事は翌々日(場合によっては翌日)から可能ですが、数日間はできるだけ安静に。

ALTA療法(ジオン注)の主な副作用・合併症

 注射部位の痛み、腫れ、発熱、肛門部の重たい感覚などが見られることもあります。

ALTA療法(ジオン注)の再発率

 ALTA療法後の再発率はゼロではありません。医療機関により若干の差はありますが、一般的な手術より再発率は高いと言われております。また、再発に対しては、再度ALTA療法を行うか、その他の治療法を選択することになります。