ピロリ菌

ピロリ菌は、胃の粘膜に生息しているらせん形をした悪い菌で、主に胃や十二指腸などの病気の原因になります。日本人のピロリ菌感染者は、約3500万人ともいわれており、上下水の発達していなかった現在の50歳以上の人が感染している割合が高いといわれています。子供の頃に感染し一度感染すると多くの場合、除菌しない限り胃の中に棲みつづけます。ピロリ菌に感染すると、炎症が起こりますが、この時点では、症状のない人がほとんどです。大人になってから激しい胃の症状が出ることがあります。

ピロリ菌の感染経路

ピロリ菌の感染経路は、まだはっきりわかっていませんが、大部分は飲み水や食べ物を通じて、人の口から体内に入ると考えられています。上下水道の完備など生活環境が整備された現代日本では、生水を飲んでピロリ菌に感染することはありません。逆に上下水が発達していなかった50代以上の方に感染が多いとされています。ピロリ菌は、ほとんどが幼児期に感染すると言われており、幼児期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生きのびやすいためです。
噛み砕いたものを子供に口移しで与えるといった行為は、ピロリ菌を感染させる可能性がありますので注意が必要です。

ピロリ菌は胃がんを引き起こすおそれがあります

さらにピロリ菌の感染が続くと感染範囲が広がって、慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)がすすみます。この慢性胃炎が、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんを引き起こすおそれがあることが明らかになってきました。ピロリ菌を除菌することで、これらの病気を予防することが出来ます。除菌後は胃がんのリスクは減っていきますが、しばらくは毎年の胃がん検診(内視鏡検査)を続けられることをおすすめします。

ピロリ菌によって引き起こされる症状

胃の内部は、胃酸によって強い酸性の状態が保たれており、通常生物は生息できません。しかし、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を体内から作り出して胃酸を中和し、結果として胃の粘膜が傷つけられることになります。ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると炎症が起こります。感染が長く続くと、最終的には胃粘膜全体に広がり慢性胃炎となります。この慢性胃炎をヘリコバクター・ピロリ感染胃炎と呼びます。ピロリ菌によって引き起こされる症状は下記のとおりです。

胃もたれ吐き気空腹時の腹痛食欲不振

などの自覚症状がある方は、ピロリ菌の検査を受けられることをおすすめします。