潰瘍性大腸炎

大腸に小さく浅い潰瘍が多発する病気です。クローン病とともに炎症性腸疾患に分類されます。
大腸に炎症をおこす病気には原因がはっきりしているものとそうでないものがあります。原因が明らかな腸炎については、たとえば食中毒では特定の細菌が原因となることが多く、また抗生剤などの薬剤によって腸内細菌のバランスが乱れて腸炎を起こすこともあります。

潰瘍性大腸炎ではその原因が明らかではなく、非特異性腸炎の一種として分類されています。最近になり、その原因も少しずつ明らかになってきており、潰瘍性大腸炎では免疫(体に何らかの刺激が加わると排除しようとすること)反応が過剰に働いてしまい、大腸に障害(炎症)を与えてしまうことが考えられています。

原因

複数の原因が関与していると考えられていますが現時点では不明な点が多い病気です。何らかの遺伝的要素に食事や腸内細菌などの環境因子が加わり、上で述べた免疫の過剰により炎症をおこすと考えられています。最近では、日本の研究グループから特定の遺伝子の配列の違い(遺伝子多型)が潰瘍性大腸炎と関係があることが報告されましたが、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。
父親や母親が潰瘍性大腸炎の場合、子供さんが潰瘍性大腸炎になるリスクは病気でない方と比べやや高いですが、これは遺伝子的要素だけでなく食生活など他の因子も関与していると考えられています。

症状

  • 初期症状として血便(痔と間違えられることがあります)
  • 粘液便(ねばねばした油のような分泌物が混じること)
  • 痙攣性、または、持続的な腹痛を伴うことがある
  • 重要になると発熱、体重減少、貧血などの全身の症状が起こる
  • また、腸管以外の合併症として、皮膚の症状、関節や眼の症状が出現することもある

治療

潰瘍性大腸炎の治療の中心はペンタサ・サラゾピリンに代表される5-アミノサリチル酸製剤とステロイド製剤になります。また炎症が直腸やS状結腸が中心の場合には注腸療法や座薬を用いることもあります。重症例では入院の上ステロイドを点滴で行う治療法が中心になります。
また、再燃を繰り返す場合、ステロイド療法が効果が認められない場合には免疫調節剤、血球成分吸着・除去療法(GCAP,LCAP)が行われます。内科治療が効果がない場合は、外科的手術が必要なこともまれにあります。