大腸ポリープ

大腸ポリープとは、胃や腸などの内壁にできた、きのこ状やいぼ状の腫瘍(しゅよう)の総称で、大腸ポリープは大腸の粘膜にできたポリープのことです。大腸ポリープには、炎症性のもの、過誤種腫性(大腸粘膜に迷入した細胞から発生)、腫瘍性のものなどがあります。いずれも小さいうちは自覚症状はほとんどありません。形は様々で、大きさも1mm程度から5cm以上とあります。ポリープは形だけでは判別は難しいのですが、8割以上は腫瘍性のものと考えられています。腫瘍性ポリープはそのまま放置しておくと少しずつ大きくなり5年ぐらいでがん化するものもあるといわれています。

ポリープの分類

1、腺腫性ポリープ

 いわゆる大腸腺腫です。最も多いポリープで、がんに進展する可能性が最もあります。しかし、多くの腺腫性ポリープはそのままか、一部退 縮するものもありますが、サイズが大きかったり、徐々に大きくなったりした場合は特に注意が必要です。

2、過形成ポリープ

基本的には良性ですが、がんに進展する可能性もわずかながらあります。ほとんど正常な大腸の粘膜細胞が炎症等の原因で増えてしまい、ポリープのように見えるものです。

3、炎症性ポリープ

がんに進展する可能性はほとんどありません。激しい腸の炎症後、粘膜が再生するときに増殖した細胞が塊を作りできるものです。

4、粘膜下腫瘍

粘膜の下にできる腫瘍のため、隆起が穏やかです。ほとんどが脂肪種等の良性腫瘍ですが、悪性腫瘍が隠れていそうな時は切除の対象となります。

原因

大腸ポリープの原因は大腸の粘膜に存在している細胞が異常増殖し、隆起して表面に出てくることです。これがどうして引き起こされるのかというと、腺腫に関しては生活習慣などと関係があるのではないかと考えられています。
脂肪分の摂り過ぎや、食物繊維の不足により、大腸ポリープになるリスクが増大するといわれています。脂質を過度に摂ると腸の中で発がん物質が多くなりやすく、食物繊維が不足していると便がスムーズに排泄されにくくなります。
腸内で発生した発がん物質が排出されないまま長く居座ることになるため、腺腫やがんが引き起こされやすくなるという理屈です。

 また、遺伝により大腸ポリープになることもあり、これは家族性大腸腺腫症(かぞくせいだいちょうせんしゅしょう)といいます。非常に多くの腺腫が認められるのが特徴で、将来がん化するためがんを未然に防ぐための手術を受けなくてはいけません。

症状

 自覚症状はほとんどありません。ある程度の大きさになると便が接触することにより少しずつ出血することがあります。
 眼で見ても判らないような出血もあり、最近では便潜血検査といって便を科学的に検査して血液が混じっているかどうか調べることができます。

治療

 基本的には、切除が必要です。

大腸ポリープの治療方法の一つとしては、内視鏡による切除が挙げられます。検査をおこなった際に同時に切除するのも珍しい話ではありません。ただし、大腸ポリープが大きい場合には、内視鏡による切除が複数回にわたることがあります。また、内視鏡以外の方法として大腸ポリープが大きい場合は開腹手術が選択されるケースもあります。

 

ポリープ切除術/内視鏡ポリペクトミー

ポリープの部分に金属の輪をかけて高周波の電流を流して焼き切ります。合併症としては切除した部分から出血したり、穿孔といって腸に穴があくことがあります。合併症を予防するために、ポリープ切除後およそ10日程度は食べ物の量を減らし、アルコールや刺激の強い食品は避ける必要があります。 

大腸ポリープと大腸がん

大腸がんはポリープを長年放置してガン化するものと、いきなりガンが発症する場合と2種類あります。大腸ポリープはほとんどの例で進行するまで症状がありません。大腸がんで命を落とさないためには、定期的に大腸内視鏡検査を受けて、大腸ポリープのうちに切除しておくことが重要です。